地域連携
大阪・岸和田で続く桐箪笥づくり ― 原木から受け継ぐ田中家具製作所の仕事
一般企業・団体
大阪府・岸和田市
大阪府岸和田市に、桐箪笥の製作を続ける株式会社田中家具製作所がある。
本社・ショールームは岸和田市荒木町に、工房は同市吉井町にあり、同社では大阪泉州桐箪笥をはじめとする桐箪笥の製作、販売、修理を行っている。
創業は1919年頃。祖父の代から桐箪笥づくりを続け、現在まで百年以上にわたり、岸和田の地で桐と向き合ってきた。田中家具製作所の特徴は、桐箪笥を板材から組み立てるだけではなく、原木の仕入れから製品完成までを一貫して行っている点にある。
工房では、桐の丸太を仕入れ、製材し、屋外で自然乾燥させる。桐材は、普通の木材とは異なり、雨に当てながらアクを抜く必要があるという。乾燥中の材料は、片面だけに雨が当たらないように何度も裏返される。厚い材料の場合、使えるようになるまでに約2年を要する。
本社・ショールームは岸和田市荒木町に、工房は同市吉井町にあり、同社では大阪泉州桐箪笥をはじめとする桐箪笥の製作、販売、修理を行っている。
創業は1919年頃。祖父の代から桐箪笥づくりを続け、現在まで百年以上にわたり、岸和田の地で桐と向き合ってきた。田中家具製作所の特徴は、桐箪笥を板材から組み立てるだけではなく、原木の仕入れから製品完成までを一貫して行っている点にある。
工房では、桐の丸太を仕入れ、製材し、屋外で自然乾燥させる。桐材は、普通の木材とは異なり、雨に当てながらアクを抜く必要があるという。乾燥中の材料は、片面だけに雨が当たらないように何度も裏返される。厚い材料の場合、使えるようになるまでに約2年を要する。
田中美志樹さんは、専務として材料の仕入れ、製材、乾燥、木取り、前板の選定など、箪笥の品質を左右する工程に関わっている。
小学生の頃から木を干す手伝いをしていたが、大学卒業後は一度、半導体関係の仕事に就いた。その後、家業が忙しかった時期に田中家具製作所へ入り、桐箪笥づくりに携わるようになった。
田中美志樹さんは、工房に干された桐材について「何気なく干してるけど、木をずっと見てるんよね」と話す。
小学生の頃から木を干す手伝いをしていたが、大学卒業後は一度、半導体関係の仕事に就いた。その後、家業が忙しかった時期に田中家具製作所へ入り、桐箪笥づくりに携わるようになった。
田中美志樹さんは、工房に干された桐材について「何気なく干してるけど、木をずっと見てるんよね」と話す。
丸太をどの方向に挽くかによって、出てくる木目は変わる。どの部分を正面に使うのか、どの板を側板や天井板に使うのか。材料を見ながら、その先の箪笥の姿を考えている。
桐の木は、割ってみなければ分からない部分も多い。まっすぐで傷のない木、木目の整った木は限られている。その中で、見える場所には良い材料を使い、箪笥の正面となる前板には特に細かな木目を選ぶ。田中さんは、前板を箪笥の「顔」として捉えている。
木取りの工程では、複数の板を合わせて、一つの木のように見せる。現物を見ると、横面や天井部分が一枚の木のように見えるが、実際には複数の板を木目に合わせて組み合わせている。
継ぎ目が分からないように合わせることも、桐箪笥づくりの技術の一つとなっている。
桐の木は、割ってみなければ分からない部分も多い。まっすぐで傷のない木、木目の整った木は限られている。その中で、見える場所には良い材料を使い、箪笥の正面となる前板には特に細かな木目を選ぶ。田中さんは、前板を箪笥の「顔」として捉えている。
木取りの工程では、複数の板を合わせて、一つの木のように見せる。現物を見ると、横面や天井部分が一枚の木のように見えるが、実際には複数の板を木目に合わせて組み合わせている。
継ぎ目が分からないように合わせることも、桐箪笥づくりの技術の一つとなっている。
田中家具製作所では、中国桐は使用せず、日本の桐とアメリカの良質な桐を使っている。現在は日本の良材が少なくなっており、アメリカの桐にも日本の桐に近い木目や質を持つものがあるという。
材料を選び、乾燥させ、時間をかけてから箪笥にすることで、完成後の狂いを抑え、長く使える箪笥づくりにつなげている。
製作工程そのものは、昔から大きく変わっていない。
材料を選び、乾燥させ、時間をかけてから箪笥にすることで、完成後の狂いを抑え、長く使える箪笥づくりにつなげている。
製作工程そのものは、昔から大きく変わっていない。
一方で、仕上げやデザインには変化もある。
かつては砥の粉仕上げが中心だったが、現在は焼き桐、オイル仕上げ、漆、現代的な色合いや金具なしのデザインなども扱っている。それでも、組手は今も手組みにこだわっている。
手組みでは、鑿でほぞを抜き、木を叩き、ボンドを入れて組み、水を含ませる。水を含んだ木が膨らむことで、剥がれにくい接合になるという。
機械で整った組手を作ることもできるが、田中家具製作所では、長い時間に耐えるための作り方として、手で組む工程を続けている。
工房では、田中寛人さんも桐箪笥づくりに携わっている。
かつては砥の粉仕上げが中心だったが、現在は焼き桐、オイル仕上げ、漆、現代的な色合いや金具なしのデザインなども扱っている。それでも、組手は今も手組みにこだわっている。
手組みでは、鑿でほぞを抜き、木を叩き、ボンドを入れて組み、水を含ませる。水を含んだ木が膨らむことで、剥がれにくい接合になるという。
機械で整った組手を作ることもできるが、田中家具製作所では、長い時間に耐えるための作り方として、手で組む工程を続けている。
工房では、田中寛人さんも桐箪笥づくりに携わっている。
現在は伝統工芸士を目指して仕事を重ねている段階で、主に製材に関わる作業を担当している。
外で干している桐材をひっくり返し、両面に雨が当たるようにする。工房内に運び入れた材料を切断し、天井や引き出し内部に使う部材として加工する。木目を合わせ、一枚の木に見えるように組み上げる作業も担っている。
田中寛人さんは、桐箪笥づくりの難しさについて、技術だけではなく、職人同士の意思疎通を挙げる。一人の職人が最初から最後まで仕上げるのではなく、工程ごとに複数の職人が関わるため、自分の担当だけで完結する仕事ではない。
製材を担当するようになってからは、木目の良し悪しや素材を見る意識も深まってきたという。
完成した箪笥を配達することもある。納品先でお客様が喜ぶ姿を見ることは、仕事の印象に残っているという。
婚礼のために納める場合もあれば、暮らしの中で見える場所に飾るように置く人もいる。桐箪笥は、収納家具であると同時に、暮らしの中で長く付き合う家具として使われている。
田中由紀彦さんは、代表取締役社長として会社全体を見ている。
経理、販売、顧客対応、ホームページでの発信、配送や納品の段取りまで幅広く担う。もともとは工場で桐箪笥づくりに関わっていたが、現在は作り手としての知識を生かしながら、顧客に製品の価値や作り方を直接伝える役割も担っている。
以前は百貨店や家具専門店を通じた仕事が中心で、自社で価格を決めたり、製品の価値を直接説明したりすることが難しかった。そのため、田中家具製作所ではショールームを設け、実物を見てもらいながら、桐箪笥の構造や使い心地を伝える形を続けてきた。
外で干している桐材をひっくり返し、両面に雨が当たるようにする。工房内に運び入れた材料を切断し、天井や引き出し内部に使う部材として加工する。木目を合わせ、一枚の木に見えるように組み上げる作業も担っている。
田中寛人さんは、桐箪笥づくりの難しさについて、技術だけではなく、職人同士の意思疎通を挙げる。一人の職人が最初から最後まで仕上げるのではなく、工程ごとに複数の職人が関わるため、自分の担当だけで完結する仕事ではない。
製材を担当するようになってからは、木目の良し悪しや素材を見る意識も深まってきたという。
完成した箪笥を配達することもある。納品先でお客様が喜ぶ姿を見ることは、仕事の印象に残っているという。
婚礼のために納める場合もあれば、暮らしの中で見える場所に飾るように置く人もいる。桐箪笥は、収納家具であると同時に、暮らしの中で長く付き合う家具として使われている。
田中由紀彦さんは、代表取締役社長として会社全体を見ている。
経理、販売、顧客対応、ホームページでの発信、配送や納品の段取りまで幅広く担う。もともとは工場で桐箪笥づくりに関わっていたが、現在は作り手としての知識を生かしながら、顧客に製品の価値や作り方を直接伝える役割も担っている。
以前は百貨店や家具専門店を通じた仕事が中心で、自社で価格を決めたり、製品の価値を直接説明したりすることが難しかった。そのため、田中家具製作所ではショールームを設け、実物を見てもらいながら、桐箪笥の構造や使い心地を伝える形を続けてきた。
ショールームには、完成した桐箪笥が並ぶ。来店者は、引き出しの動き、桐の香り、金具の付け方、組手や素材の違いを、自分の目で見て、手で確かめることができる。
田中由紀彦さんは、ショールームがあることで、顧客が納得して相談できると話す。別注家具や修理の相談もここで受け、要望を工房や職人へ伝えている。
桐箪笥は湿気に反応する家具でもある。梅雨時や湿度の高い時期には、引き出しが硬くなることがある。田中美志樹さんは、それを単なる不具合ではなく、箪笥が湿気を中に入れないように動いている状態として説明する。
田中由紀彦さんは、ショールームがあることで、顧客が納得して相談できると話す。別注家具や修理の相談もここで受け、要望を工房や職人へ伝えている。
湿気の多い地域や山間部、田んぼの近くなど、置かれる環境によって状態が変わる場合には、現場へ行って調整することもある。
桐箪笥は、着物だけでなく、掛け軸、陶器、古い書物、時計、精密機器など、大切なものを長く保管するためにも使われる。
田中家具製作所では、完成して納品するだけで終わりではなく、長く使ってもらうための調整や修理も仕事の一部としている。
洗い直しや修理の依頼も多い。祖母や母が使っていた箪笥を、孫世代が使うために直すケースや、引っ越しに合わせて自分の箪笥をきれいにするケースがある。
洗い直しでは、金具を外し、熱湯で洗い、乾燥させてから修理や仕上げを行う。単に削ってきれいにするのではなく、熱湯で洗うことで桐の木を蘇らせるような工程になるという。
桐箪笥は、着物だけでなく、掛け軸、陶器、古い書物、時計、精密機器など、大切なものを長く保管するためにも使われる。
田中家具製作所では、完成して納品するだけで終わりではなく、長く使ってもらうための調整や修理も仕事の一部としている。
洗い直しや修理の依頼も多い。祖母や母が使っていた箪笥を、孫世代が使うために直すケースや、引っ越しに合わせて自分の箪笥をきれいにするケースがある。
洗い直しでは、金具を外し、熱湯で洗い、乾燥させてから修理や仕上げを行う。単に削ってきれいにするのではなく、熱湯で洗うことで桐の木を蘇らせるような工程になるという。
田中由紀彦さんは、ある高齢の女性から古い桐箪笥の洗い替えを依頼された話をしている。その箪笥は、依頼者の母親が嫁入りの時に持ってきたもので、戦争や疎開、引っ越しを経て残されていた。
依頼者は、近所で世話をしてくれている人に譲る約束をしていたが、それ以上に「母が嫁に来た時の箪笥を見たかった」と話したという。修理後の箪笥を見て涙を流して喜んだ姿は、田中由紀彦さんにとって印象に残る出来事だった。
需要の減少、住宅事情の変化、クローゼットの普及、若い世代の関心の低下。田中家具製作所を取り巻く環境は、以前とは大きく変わっている。
大型の箪笥だけでなく、クローゼットに入る箪笥、着物を入れる箱、貴重品を入れるからくり箪笥など、技術を生かした製品にも取り組んでいる。
それでも、田中由紀彦さんは「やはり自分たちは泉州桐箪笥であり、箪笥が本筋」という思いを持っている。工房では、原木を仕入れ、雨に当て、木を見続け、木目を合わせ、手で組む作業が続く。ショールームでは、作り手が直接、箪笥の構造や使い方を伝えている。
大阪・岸和田の田中家具製作所では、原木から始まる桐箪笥づくりと、使い続けるための修理、そして顧客に伝える場としてのショールームがつながっている。
暮らしの形が変わる中でも、長く使われる家具をつくる仕事は、今日も工房とショールームの間で続いている。
依頼者は、近所で世話をしてくれている人に譲る約束をしていたが、それ以上に「母が嫁に来た時の箪笥を見たかった」と話したという。修理後の箪笥を見て涙を流して喜んだ姿は、田中由紀彦さんにとって印象に残る出来事だった。
需要の減少、住宅事情の変化、クローゼットの普及、若い世代の関心の低下。田中家具製作所を取り巻く環境は、以前とは大きく変わっている。
大型の箪笥だけでなく、クローゼットに入る箪笥、着物を入れる箱、貴重品を入れるからくり箪笥など、技術を生かした製品にも取り組んでいる。
それでも、田中由紀彦さんは「やはり自分たちは泉州桐箪笥であり、箪笥が本筋」という思いを持っている。工房では、原木を仕入れ、雨に当て、木を見続け、木目を合わせ、手で組む作業が続く。ショールームでは、作り手が直接、箪笥の構造や使い方を伝えている。
大阪・岸和田の田中家具製作所では、原木から始まる桐箪笥づくりと、使い続けるための修理、そして顧客に伝える場としてのショールームがつながっている。
暮らしの形が変わる中でも、長く使われる家具をつくる仕事は、今日も工房とショールームの間で続いている。
FreeLife Colors メディア事務局
掲載日:2026-05-19
更新日:2026-05-19
更新日:2026-05-19









