京阪本線深草駅の東側に、「茶碗子の井戸」というスポットがあります。住宅街にひっそりとあるこの井戸では、現在も京都の名水の一つ「茶碗子の水」を汲めます。

かつて都に住んでいた茶人の使いが、宇治川の水を汲んだ帰りに水をこぼしてしまい、かわりにこの水を汲んで帰ったところ茶人に褒められた…という伝説が残っているのだそう。
傍らには歌碑が二つありました。
「夕されば 野辺の秋風 身にしみて うづら鳴くなり 深草の里」
「ひとつとり ふたつとりては焼いて食ふ うづらなくなる 深草の里」
「夕されば 野辺の秋風 身にしみて うづら鳴くなり 深草の里」
「ひとつとり ふたつとりては焼いて食ふ うづらなくなる 深草の里」

前者は平安時代の歌人・藤原俊成が詠んだ歌。後者は江戸時代の狂歌だそうです。前者の歌のパロディーみたいなもので、江戸時代らしいユーモアがありますね。
歌に出てくる「うづら」ですが、かつて深草にはうずらがたくさん生息していたのだそうですよ。そういえば伏見稲荷大社でも、うずらやすずめの焼き鳥が名物なのを思い出しました。
小さなスポットですが、面白い場所です。ぜひ名水も飲んでみてください。
茶碗子の井戸の情報
京都市伏見区深草野手町