静岡県沼津市にある「沼津港深海水族館 シーラカンス・ミュージアム」は、世界でも珍しい、深海生物に特化した水族館です。日本一の深さを誇る駿河湾の特性を生かし、常時100種以上の深海生物が展示されています。
この水族館の最大の特徴は、世界で唯一、冷凍保存されたシーラカンス2体と剥製3体を展示していることです。これらは1981年、日本の学術調査隊によって捕獲された個体で、正式に展示が許可された貴重な標本です。シーラカンスは「生きた化石」として知られ、3億5千万年前から姿をほとんど変えずに深海で生き続けているとされています。
館内ではそのほか、ダイオウグソクムシやメンダコ、ヒカリキンメダイ、メガマウスザメの剥製など、さまざまな深海生物が紹介されています。これらの多くは駿河湾で捕獲されたもので、地元の漁師たちの協力により、生きたまま展示されることもあります。
また、深海のプラネタリウムや、VRで深海探検を疑似体験できる「ディープクルーズ」など、深海の世界を五感で感じられる体験型展示も充実しています。これらの展示によって、訪れる人々は深海の神秘により深く触れることができます。
水族館の周辺には、飲食店やお土産店が並ぶ「港八十三番地」があり、水族館の当日チケットを提示すると、対象店舗で割引を受けることができます。また、館内のミュージアムショップ「ブルージェリー」では、深海生物をモチーフにしたぬいぐるみやオリジナルグッズが数多く揃っています。
神秘に満ちた深海の世界――
「沼津港深海水族館」は、その未知なる世界への扉を、静かに、そして確かに開いてくれます。