下御霊神社(しもごりょうじんじゃ)は、崇道天皇(早良親王:桓武天皇の弟)・伊予親王・藤原吉子・藤原廣嗣・橘逸勢(たちばなのはやなり)・文屋宮田麻呂(ぶんやのみやたまろ)・吉備聖霊(きびのしょうりょう)・火雷天神(からいのてんじん)の八所御霊をお祀りしている神社です。
京都御所の東南・寺町通り沿いにあり、病気平癒・厄除けの神様としても知られています。
奈良・平安の時代、無実の罪などで非業の死を遂げた貴人が、その深い恨みのために怨霊となり天変地異や疫病を蔓延したと考えられていました。
その魂を鎮めるため、彼らは御霊としてお祀りされました。
そのための神社の1つが下御霊神社です。
当初は御霊神社(現・上京区の上御霊神社)の南にあったことで、下御霊神社と呼ばれ、現在の場所に落ち着いたのは天正年間に行われた豊臣秀吉の京都大改革の時です。
現在の本殿は仮皇居の賢所を下賜された大変貴重なもの。
正門も天明の大火(1788年)後に下賜された建礼門で、そう思って眺めるとどことなく雅な趣を感じます。
境内には本殿、その前の拝殿のほか、摂社末社が並んでいます。
正門をくぐってすぐ左側にある手水舎には、「御霊水」が湧き出ています。
下御霊神社には、かつて「感応水(かんのうすい)」とい呼ばれた名水が湧いていたのですが、いつしか枯れてしまったそうです。
しかし近年新たに井戸を掘ると「感応水」と同じ水脈から地下水が湧き出し、まろやかでおいしいそうです。
私がお参りしている間にも数人の方が汲みに来られていました。
京都市では京都に自生する野生種で、藤袴(ふじばかま)の保全・育成に力を入れています。
下御霊神社とすぐ南にある革堂行願寺(こうどうぎょうがんじ)では、10月に入るころからたくさんの藤袴が美しく咲きます。
藤袴は京都に自生する野生種で、環境省から「準絶滅危惧種」に指定されている植物。
野生に自生する姿はすっかり見られなくなったのですが、最近は京都の寺社を中心に藤袴を楽しめるスポットが増えてきました。
令和7年の藤袴祭はもう終わってしまいましたが、下御霊神社で秋の訪れとともに咲き出す藤袴もぜひお楽しみください。