今年の夏、奈良市で毎年恒例の「なら燈花会」を訪れました。8月上旬の約10日間、奈良公園一帯がろうそくの灯りに包まれるこのイベントは、奈良の夜を優しく照らす風物詩です。

 会場は奈良公園とその周辺の複数スポット(浮見堂、猿沢池、春日野、興福寺など)で構成され、夜7時頃から灯りが点されます。ろうそくの数は毎年2万本ほど使われ、草地や水辺、石段に灯された灯火が幻想的な空間を作り出しています。 

灯火の間を歩くと、ゆらゆらと揺れる光、静かな夜風、照らされた古い建物や木々が交わる影、そのすべてが、昼間とは異なる奈良の顔を見せてくれました。特に、浮見堂近辺や猿沢池のほとりで、水面に灯りが揺れる様子は、写真でも伝わりにくいほど神秘的でした。 

また、会場は多くの人で賑わっていました。普段夜遅くに訪れる場所も、燈花会期間中は人の流れが絶えません。浴衣姿の来訪者やカメラを構える人も多く、ゆっくり歩きながら灯りを楽しむ人々の姿が印象的でした。 

夜の奈良を、こんなにも静かで優しい光で包むなら燈花会は、毎年欠かせない存在だと思います。来年、もし奈良に来る機会があれば、ぜひ夜の公園を歩きながら、あの灯りを体感してみてください。きっと、記憶に残る夜になります。 
■ 施設・イベント情報(概要)
名称:なら燈花会
開催期間:毎年8月上旬(例:8月5日〜14日)
点灯時間:夜間(19:00〜21:30頃など)
会場スポット:浮見堂、猿沢池、春日野、興福寺など奈良公園周辺