滋賀県北部にある「道の駅 塩津海道あぢかまの里」には、琵琶湖の歴史を象徴する「丸子船(まるこぶね)」が屋外展示されています。
丸子船とは、琵琶湖で古くから活躍した木造の帆船で、湖の浅い水深や風の特性、水運の需要に合わせて独自に発達した船です。
特徴は、船体の両側に取り付けられた太い丸太状の部材「オモギ」。この浮力と安定性によって、荷物を満載しても沈みにくく、大きな帆を立てて湖上を進むことができました。
江戸時代になると、丸子船は琵琶湖水運の主役として活躍します。
積載量は150〜180石が一般的で、米や塩、布といった生活必需品から、北陸や畿内へ流通させる物資まで幅広く運びました。
最盛期には琵琶湖のあちこちを丸子船が行き交い、水辺の景観そのものだったといわれます。
その姿は昭和初期まで見られ、のちに陸上輸送へ役目を譲りましたが、現在も復元船として保存され、滋賀の文化財的な存在になっています。
あぢかまの里に展示されている丸子船は、その復元船の一つ。施設の裏手にあり、自由に近づいて船体を眺められる点が大きな魅力です。
船首から船尾まで歩きながら見学でき、船底の形状やオモギの取り付け方、帆船としての造りを間近で確認できます。
資料館ではなく、屋外で実物と向き合えるので、湖上交通を担った技術や当時の暮らしを直感的に学べる展示です。
ドライブの休憩がてら立ち寄れば、琵琶湖の歴史に一歩踏み込めるスポットとしておすすめです。