大和郡山市の郡山城跡に建つ「城址会館」は、奈良県で最初の県立図書館として使われた歴史的建造物です。
旧奈良県立図書館は日露戦争の戦勝を記念して奈良公園内に建てられ、1908年(明治41年)に完成しました。
長く県民に親しまれたのち、奈良県立文化会館に新館が整備された1968年(昭和43年)頃に郡山城跡へ移築され、現在の姿になりました。
1997年(平成9年)には奈良県の有形文化財に指定され、保存と活用が続けられています。
建物は、外観に和風建築の意匠を取り入れながら、内部には洋風の造りを合わせた和洋折衷の設計が特徴です。
明治期を代表する近代和風建築として評価が高く、重厚な外観とモダンな内部空間が生み出す独特の雰囲気からは、当時の文化的背景が感じられます。
現在は城址会館として活用され、大和郡山市の学習指導教室として地域に開かれています。
普段は内部に入ることはできませんが、土日と祝日には1階ホールを見学でき、建築の見どころを間近で味わえます。
郡山城跡の散策と合わせて訪れると、明治の空気をさりげなく感じられるスポットです。