前回の記事で「暮らし商店ごんべや」をご紹介させていただきましたが、その時に「さぬき市津田は今、熱いのだ」とお伝えしました。

その根拠の一つであるお店が、ごんべやから歩いて5分ほどのところにあります。

それが、本藍染工房兼縫製工場である「Khimaira(キマイラ)」です。
Khimairaは藍染師である堀尾早敏さんが立ち上げた工房で、ショップと工房の両方を兼ねています。

もともと水産加工場であった建物をリフォームして生まれたKhimaira。

外観にも古びた瀟洒な魅力が表れていますが、扉を少し開けただけでも漏れ出てくる藍の気配に圧倒されます。

入ってすぐの空間がショップ、奥が事務所兼工房となっており、ショップには上品で味わい深い藍染めの品々がそっと陳列されていました。

展示品はすべて購入可能となっています。
ショップには、羽織もの、アウター、トップス、パンツ、スカートなどが並びます。

藍染の可能性を極限まで追求した服たち。

商品というよりも作品と呼びたいような、丁寧に紡がれ染められた藍染めの数々に、思わず息を止めて見入ってしまいました。

縫製の丁寧さにも定評があり、遠方からも訪ねてくる人がいるほど。

この日も、わたしの他に多数のお客さんたちで小さな店内は賑わっていました。
Khimairaの店主、堀尾さんは徳島で染めの修業をしたあと、故郷である津田の地で海をいちばん近くに感じられる場所にお店を構えました。

ちょうどそのころの津田は、一度外に出た地元のひとが帰ってきたり、様々な職種の移住者が増えていった時期でした。

それぞれがそれぞれの場所で暮らし働く準備をし、次々と活動を始めてゆく。

その様子を嬉しく思いながら、自分もKhimairaを立ち上げ、とにかくまっすぐに藍染と向き合ったそうです。

培った藍染の技術をさらに磨きながら、縫製にも力を入れた。

どんなに洗っても落ちない両手の藍色は、爪さえもあおく染めて、それはそのまま堀尾さんの歴史と勲章です。

時には藍染めのワークショップを行ったり、工房内の見学も受け付けて、一般の人にも藍染めを身近に感じてもらったり。

すべての活動がKhimairaの追い風となり、お店の知名度は今もぐんぐんと上がっています。

馴染みのあるアパレル系のショップ仲間を集め、Khimairaで展示即売会を行った時には一日で600人以上の来場者を呼び込むことに成功したそうです。

津田という穏やかな海街の、小さな染物屋に600人の人が訪れた。

それって、とても大きい意味があるのではないかと、美しく藍に染められた布地を前にして、わたしは身震いしたのでした。
営業日は、基本的に月曜を除いた平日と土日祝日ですが、訪れる際にはSNS等で営業日のご確認を。

KhimairaのInstagramはこちら☆彡

Khimairaは間違いなく津田の「熱さ」の仕掛け人のひとつ。

その熱さを、ぜひ目の当たりにしてきてください。