京阪電車の錦駅から琵琶湖方向へ少し行ったところ、住宅街の道路の真ん中に大きな木が立ち塞がります。

両側は通れるので、自動車は木を避けて通行しています。
この不思議な木は「山城屋のイチョウ」と呼ばれており、古くからこの地に立っているのです。

一見するとミステリー?何か祟りでもあって切れないのでは?と考えてしまいますよね。

いや、全然そんな怖い話はありません。

言い伝えでは室町時代にある禅僧がこの地を霊地と感じ、草庵(人が住む草ぶきの粗末な家、修行に使われることもある)を構えてイチョウを植えたことがはじまりと言われています。

その後に山城屋大吉という人が邸を建て、この木はその土地の一角にあったため、そのまま護り木とされたそうです。

では何故、現在は道路の真ん中に放置されることになったのでしょうか?
実は琵琶湖は約400万年ほど前は、今の愛知県辺りにあり、長い時間をかけて形を変えながらここまで移動しています。

昔ほどのスピードではないものの、今でも年に2~3cmほど北の方向に動いていると言います。

このイチョウの木は昔は琵琶湖の畔にあったそうです。
大きな木なので、湖上交通の目印としての役目を果たしていました。

現在は琵琶湖から1kmほど南にあるので、その時代から更に琵琶湖は動いたのでしょう。

すでに山城屋は無く旧山城屋のイチョウ一株の看板だけが残っています。
ちなみにGoogleMapのマーキングは間違っています

そんな由緒ある木ですが、道路建設の際には伐採計画が出たそうです。
しかし地元の住人が猛反対、結果このような形でイチョウの木は残されることとなりました。
別方向から見たイチョウの木。
住宅街の中にあり、観光地という感じではないのですが・・・

もしも通ることがあるならば、「昔はここが湖岸だったのかぁ」という感じで思いふけってみるのも良いのではないでしょうか。


山城屋のイチョウ(大津市が取り上げていました
住所:滋賀県大津市昭和町5
営業時間:24時間
入場料:無料
その他:生活道路なので路上駐車はしないようにしてください。