十国峠 ”Jikkokutouge" ( The pass from which people could see ten countries at the old time)
かつては年齢の近いバーテンダー仲間とよく温泉旅行に出かけては、最後に必ず小さな山を一つ、登っていた。いつまで続くのかわからぬ登攀の辛さと我慢を耐え忍んだ挙句の登頂の喜びには、得も言われぬ快楽の一種がある。また、終わりの見えぬ苦難に曝され続けると、案外個々人の本性が垣間見えてくる。 引っ越し先の熱海にもちょっとした峠がある。昔のように繫みに挟まれた狭い山道を登っていく懐かしい記憶を追体験できるかと思ったが、バスが熱海駅から山麓まで出ており、そこからはケーブルカーがゆっくりと走っていた。 When
Yuta Ando
2023-03-31 05:48