海風と共に散る花びら 多和神社
桜は咲き誇るその姿より、風に吹かれ、一枚一枚、花びらが大気に流れ、ゆらゆらと散っていくその様に、何よりの美しさを感じます。おそらく、年がら年中桜が咲いていたら、この花はこれほど国民に愛されることはなかったでしょう。強固で堅牢なものより、一瞬にしか宿らない儚いものを尊ぶところが、日本人が誇るべき美的センスだと僕は信じています。 この多和神社のすぐ近くには志度湾があり、海から吹く風が桜の木を揺し、周囲に花びらの雨を降らせます。境内、駐車場、石作りの階段。そのどれもが薄ピンク色の化粧を施し、春の持つ色