日本遺産になっている名峰大山は、多くの名水を育む山でもあります。
大山の頂上に祀られている地蔵菩薩(じぞうぼさつ)は、山頂の池から生まれたといういわれがあり、大山の名水は古来より延命の「利生水(りしょうすい)」として人々の生活や農作業に利用されてきました。
そんな地蔵菩薩の名前が入った名水が湧く場所が「地蔵滝(じぞうだき)の泉」です。
その傍らには今でも地蔵滝地蔵が祀られています。
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地蔵滝の泉は、大山道沿いにあり古くから人や牛馬の喉を潤してきました。
大山牛馬市は、昭和12年まで続いたそうです。
というのも、大山は地蔵菩薩信仰と同時に、平安時代から牛馬をあがなう牛馬市が開かれていたのですが、江戸時代になり徳川八代将軍吉宗(享保15年)の頃にはその名が全国的に広まったと言われています。
博労座という名前は同じ発音の「馬喰(ばくろう)」にも通じるのかな?と私は勝手に想像しているのですが、現在博労座は、普段は駐車場としてまたイベント開催時にはメイン会場として利用されています。
「平成の名水百選 地蔵寺の泉」と書かれた看板の横には、お地蔵さまが祀られています。
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お地蔵様の左手にはかつて5mほどの滝があったそうですが、昭和34年の伊勢湾台風で山が崩れた時に滝も崩壊してしまい、残念ながら現在は残っていません。
しかし、今尚、豊かな水がコンコンと湧き続け、流れ出る様子には変わりがありません。
左右の木々の間から流れ出た水は、お地蔵様の辺りで1本の流れになり2本の橋の下を流れていきます。
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澄んだ水の両わきには、クレソンがたくさん生えていました。
でも、川の幅と深さがあるので簡単には採れなさそうです。
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昔はなかった大きな橋を2本もくぐり、水はさらに流れていきます。
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こんな標識まであるのですが、普段は訪れる人が多くない地蔵滝の泉です。
それでも名水を汲んだり、春にはクレソン採りにやってくる人々もいそうです。
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大山地蔵滝の泉と地蔵滝地蔵住所:鳥取県西伯郡伯耆町丸山電話:0859-68-4211(伯耆町商工観光課)