島根県出雲市斐川町にある「荒神谷遺跡」は、国内最多となる358本の銅剣、6個の銅鐸、16本の銅矛が同時に発見されたことで知られています。
これらの出土品は古代史研究上にとって重要な発見であるため「島根県荒神谷遺跡出土品」として国宝に指定されています。
ちなみに全国最多39個の銅鐸が出土した加茂岩倉遺跡は、ここ荒神谷遺跡から山をはさんでわずか約3.3kmのところにあり、大量の青銅器がすぐ近くの2ヶ所に埋蔵されていたとは驚きです。
これらの青銅器は、祭祀に使われたと考えられており、ここ荒神谷遺跡は古代出雲国の暮らしに思いを巡らせる一時を味わえます。

古代ハスの咲く横を通り奥へと進むと、出土品が発掘された場所があります。

中央奥の斜面が、国宝指定された荒神谷遺跡出土品の発掘現場です。

順路をたどって行くと発見&発掘された当時の様子がよく分かります。

発掘から約10年後に荒神谷遺跡公園ができました。
公園内には、5000㎡の水田があり、6月中旬~7月下旬には約50,000株の古代ハスが咲きます。
この日はちょうどハス祭りの前日で満開に近く、さらに今年は例年より花の数も多く見応え抜群でした。

この古代ハスは、約2,000年前の種をもらって栽培したものです。
昭和26年に千葉で発掘され、国内のみならずドイツやアメリカ等に分けられて現在栽培されている「検見川(けみがわ)の大賀蓮(おおがはす)」の種です。


ふと見ると、釣りをしている親子がいました。
一見不届きもののように見えるこのご家族ですが、全然そうではありません。
むしろ逆なのです。
実は荒神谷遺跡公園の古代ハスが、近年大量に繁殖したアメリカザリガニによって根が食べられ、花の数が激減する被害が起こっていました。
そのためザリガニ釣りのボランティアを募っていると何度かニュースで観たことがあります。
今年はそのニュースがないなと思っていたら、ザリガニ被害が少なかったためハスの花がたくさん咲いたということだったようです。
それでも、ザリガニはいなくなったわけではなく、ちょうど通りかかったときに「釣れたー」と叫ぶお父さんの声に誘われて見に行ったら、水中に数匹、バケツに数匹のザリガニがいました。

皆さんサキイカを餌に手作りの竿で見事に釣っておられました。
こんな方たちに支えられて、来年も古代ハスがきれいに咲くことでしょう。

南側には散策コースで巡れる西谷池があり、ちょうどスイレンがきれいに咲いていました。
さらに南に行くとアスレチックや古代復元住居もあり、家族連れも楽しめます。

荒神谷遺跡住所:出雲市斐川町神庭873番地8電話:0853-72-9044
駐車場:有り
公園内は施設を除いて24時間見学可能