岡山県瀬戸内市邑久町虫明にある長島は、瀬戸内市に位置する歴史深い島で、ハンセン病療養所の舞台として知られています。現在は人権と共生を考える場所として注目されています。

その昔はハンセン病患者を隔離する島として、本島との行き来はたった22mしかないのに簡単にできないように橋も架かっていませんでした。
念願の橋が架かったのは1988年。入所者の強い要望で架けられた橋の名前は
「邑久長島大橋」人間回復の橋と呼ばれています。

島では多くのシカを見ることができます。車が走る道路にはいたるところに「鹿注意」の注意書きがあります。

「収容桟橋」跡は、1939年に収容が行われていた場所。入所時、家族などの付き添いもこの桟橋には入ることが出来ず、社会や家族と完全に断絶される場所でした。

長島は島全体が山地で、海食崖や谷状の地形が特徴的です。面積は約3.5 km²、 人口は2020年の時点で約364人だそうです。

かつての病に対する間違った認識と偏見で、年齢関係なく大切な家族や社会と断絶されて長い長い間過ごさなければならなかった人たちの思いは如何ほどのことでしょう。
ハンセン病は遺伝もしなければ、非常に感染力の弱い菌からなる病気、なによりこの島で治療にあたっていた方全員、感染していません。
そして今では薬で治る病気です。

回春寮と呼ばれた収容所。まずここで検査や入所手続きをしていたそうです。
消毒風呂・入浴・持ち物の消毒もここで行いました。この建物の中に入ると、社会との隔離を意識して何とも言えない気持ちになったそうです。

納骨堂です。
ハンセン病の偏見や差別の目は家族にまで及び遺族が遺骨を引き取ることは困難でした。無縁仏にはならないようにと造られたそうです。

島全体がとても管理が行き届いていて、また今まで知らなかった島の歴史、そして島に生きてきた人の思いを車で巡るだけで感じることができます。
正しい知識、そして人間としての尊厳を今いちど、考えさせられる島は住んでいた人たちの清い思いのような美しい島です。