名古屋市東区の白壁・主税・橦木町の保存地区は、歴史的な町並みを守るために「町並み保存地区」に指定されています。
江戸時代の武家屋敷や明治以降に建てられた質の高い和風・近代洋風建築が残る地域です。
この街を歩くと、閑静で落ち着いた風情があり、当時の面影もある街並み。
今回は、陶磁器貿易商として活躍した春田氏の「旧春田鉄次郎邸」をご紹介します。
門から向こうに見えるのは、洗練された粋のある古き玄関アプローチになります。真ん中に見えるオシャレな赤褐色の家は、フレンチレストランの「デュボネ」お食事をされる方だけ入ることができるらしく、見学できなくて残念。
「旧春田鉄次郎邸」は、陶磁器貿易商だった春田鉄次郎が、建築家「関西近代建築の父」呼ばれる武田五一に依頼して、大正13年(1924年)に建てたとされる邸宅。
洋館とその奥にある和館で構成される和洋折衷の建築です。
春田鉄次郎は、陶磁器の貿易商として「太洋商工株式会社」を設立して、財を築きました。
それでは、昔の昭和ドラマのような懐かしい引き戸を開けて、ちょっとお邪魔します!
こちらは、1階の和室になり春田さんのご家族が使用していた暖房器具や家庭用品などが展示されています。
大正~昭和期の暮らしを映した懐かしさがあり、ここの空間だけタイムスリップしたみたいな感覚をおぼえたり。
オルガンも弾いたら、あの時代の音が響き渡るのでしょうか…?
このモダンな襖は、居間と食堂を分けています。
この斜めに階段を上がって行くような段違いの飾り窓が、当時の発想にもあったのかと何ともシャレオツですよね。
洋間には丸形テーブルが置かれています。
当時、テーブルを大勢でお食事をしながら談笑しながら、取り囲んだ情景が目に浮かぶようです!
クラシックでも聴きながら…♪
春田鉄次郎と武田五一の二人が、この邸宅の後に手がけたのが「春田文化住宅」と言う集合住宅地。
春田邸の左隣に現在、大きな結婚式場がある場所に中庭をシェアした13戸の住宅があり、地元の学者や医者、文化人が暮らしていたとか。
偉業者の文化だらけの住宅地区は、さぞ、上品な紳士淑女が勢揃い
こちらは、2階にある和室になります。
書院造りの客間と楓の一枚板の琵琶台が。
スッキリとしていて、ピシッと姿勢を正したくなり、古風な落ち着きを感じますね。
朽木欄間もあり、隙間から光が陰影となって、何とも情趣あり。
こちらは、外国人をおもてなしする時に使用された洋間。
ソファに座りながら、蓄音機で洋楽オールディーズのレコードを聴き、パイプを燻らせながら、歓談などをされていたのでしょうか?
私もここで、軽快に外国人と交流したかった…と不意に思ったり。
「旧春田鉄次郎邸」は、名古屋市景観重要建造物に指定されています。
見学したい場合は、隣の「旧豊田佐助邸」を尋ねるようにして下さい。
ベテランガイドさんが、講釈付きで案内してくれますよ。
奥ゆかしい大正時代の家屋の門戸を、あなたも叩いてみませんか?
きっと、感慨深い何かを察知できると思います。
旧春田鉄次郎邸

〒461-0018
愛知県名古屋市東区主税町3丁目6-2
電話
052-972-2780
公開時間
午前10:00~午後3時30分
休館日
毎週月曜日(祝日・振替休日の場合は直後の平日)
年末年始(12月29日~1月3日)
入館料
無料
交通アクセス
地下鉄桜通線「高岳」駅下車、1番出口より徒歩15分
基幹バス2号「清水口」バス停より徒歩4分