長い参道を経て鰐淵寺の根本堂にお参りしたら、そこで多くの方は帰りの途につかれます。しかし、ここ鰐淵寺に来たからには、弁慶の修行の地たる真骨頂を一度は目に焼き付けておきたいと思いました。
根本堂の石段を右に行くと、浮浪の滝(ふろうのたき)への道があります。
こここそが、弁慶を始め、多くの修行僧たちの修行の歴史、痕跡が刻まれた厳しい修行の地です。
弁慶がその滝に打たれて修行したと言われる浮浪の滝、そして「投入堂(なげいれどう)」に似たお堂 蔵王堂(ざおうどう)があるそうなのです。
投入堂とは、鳥取県三朝町にある「国宝 三徳山三佛寺投入堂」で、高く大きな岩の隙間にまるで巨人が投げ入れた奇跡のように建っているお堂のことです。
弁慶が滝に打たれて修行した浮浪の滝、そして珍しい投入堂に似た蔵王堂を一度は見てみたいと思い、また石段を進むことにしました。
今日、運動靴っぽい靴を履いてきて良かったと心から思いました。
浮浪の滝への道を進み始めてすぐに、ほとんどの方が浮浪の滝に来ない理由がわかりました。あまりに危険すぎる!
途中で何度も引き返そうか迷ったのですが、途中で断念したくなくてとりあえず1歩、また1歩と足を運びました。
人一人がかろうじて進める山際の細道のはるか眼下には、川が流れているのが見えます。脇の木の根を掴みながらゆっくりと這いつくばるように上っていく箇所もあり、もし逆方向から誰かが来たらーと想像するのも怖かったです。
そして、こうなるともはやどこが道かもわかりません。湿った石の上を歩けば滑落必至です。
ふと「明日の新聞に自分が載ったらどうしよう」という嫌な予感がしました。
でも一方では「弁慶もこんな道を一日に何度も走って修行したのかもしれない」と想像すると、少しでも近づきたいという気持ちの方が勝り、半分祈り半分やけくそで進みました。
そして、画像の下部分に見える休憩所を過ぎ、手前にある最後まで気が抜けそうにない頼りなさげなスロープを越えれば、いよいよ蔵王堂が見えてきます!
危険な道を歩くこと約10分、ついに弁慶が修行した浮浪の滝に到着しました。
蔵王堂は、三徳山の投入堂のように高い場所ではなく、すぐ近くまで行けそうな場所に建っていました。
鰐淵寺建立は594年ですが、現在の蔵王堂は1983年に再建されたものです。それにしても、お目当ての滝がない?滝はどこ?
後でわかったのですが、残念ながらこの時期は川の水量が少ないため、勢いよく滝が落ちるーとはならないそうです。
水量が多い時期には蔵王堂の上から堂の前を通って滝つぼへと落ちる迫力のある光景が見られるそうなのですが。
ぜひ見てみたかったなぁ。
※参照:文化庁サイトの浮浪の滝
ちなみに、岩窟に挟まれたように建つ蔵王堂の奥は、洞窟になっているそうです。水の透明感もすばらしかったです。
帰路はさらに慎重に歩き、無事、新聞記事にならずに帰ってこれました。
牛若丸(源義経)は鞍馬山で、そして弁慶は鰐淵寺で修業をしたのだと、あれこれ思いを巡らせて歩いた、怖いながらも楽しい時間になりました。
浮浪の滝へのルートに挑戦したい方はくれぐれも靴にご注意ください。パンプス、サンダルは絶対に禁止です!
また、両手が使えるような軽めのバッグにするのもおすすめです。
初めて行った鰐淵寺は、紅葉の名所というより、浮浪の滝への過酷な修行の道が強く印象に残りました。
鰐淵寺
住所:出雲市別所町148
電話:0853-66-0250
拝観時間:8:00~16:15
入山料:大人500円、中高生300円、小学生200円
駐車場:無料有り(寺受付まで徒歩約15~20分)
※紅葉は11月中旬頃、ただし滝が見られるのは雨期です
でも、時間の経過とともに体力的な疲れが収まると、山々に囲まれた歴史のある根本堂や石段の趣深い秋の佇まいも心によみがえってきました。
そして、今度は滝が見られる時期に再び訪れたいなと思うのでした。
住所:出雲市別所町148
電話:0853-66-0250
拝観時間:8:00~16:15
入山料:大人500円、中高生300円、小学生200円
駐車場:無料有り(寺受付まで徒歩約15~20分)
※紅葉は11月中旬頃、ただし滝が見られるのは雨期です
※歩きやすく脱げにくい靴で行きましょう












