閻魔法王を祀る千本ゑんま堂(引接寺)。境内の奥には、紫式部の供養塔があります。

供養塔へ向かう入口は境内の北側にあり、通路には桜の木が並んでいます。
南北朝時代の建立で、重要文化財に指定されている供養塔。近づいてよく見ると、お地蔵様や鳥居のほか、梵字などが刻まれています。
紫式部の供養塔がここにある理由は、千本ゑんま堂に祀られている閻魔法王と関係があります。

源氏物語で現世の欲を描いた紫式部は、死後、地獄へ落ちたという噂が流れました。そのため、閻魔法王の元で供養して、彼女を救い出そうとしたのですね。

また、千本ゑんま堂を創建したのは、閻魔法王の元でこの世とあの世の番人をしたといわれる小野篁。堀川通には、紫式部と小野篁が隣り合って眠る墓地もあり、紫式部が人々からいかに心配されていたのかがわかります。
供養塔の周りに植えられている桜は、「普賢象ざくら」。花の中から二つの葉が出てくる変わった八重桜で、その姿が普賢菩薩の鼻に乗ったゾウに見えるのだとか。春になったらぜひ見てみたいものです。

紫式部供養塔(千本ゑんま堂)の場所
京都市上京区閻魔前町34-1