和鋼博物館は島根県安来市にある日本で唯一の「たたら製鉄」の歴史や製造方法などを総合的に学べる博物館です。

「たたら」とは弥生時代頃に始まった日本独自の製鉄方法で、土で作った炉に木炭と砂鉄を入れ木材で長時間燃やして鉄を作り出す方法です。
たたら製鉄方法で作られた純度が高い玉鋼(たまはがね)は、日本刀の原料になります。

中国山地では古より砂鉄が多く採れる土地で、同様に木材も豊富だったためたたら製鉄による鉄、鋼作りが盛んでした。
和鋼博物館に入ってすぐ左に展示されているのが、天秤鞴(てんびんふいご)です。
左右の足をそれぞれの台に乗せて交互に踏むと炉に風が送られ、中の火が強く燃え続けることができます。
童謡「村の鍛冶屋」にも「ふいご」という歌詞が出てきますが、今では歌ったり聞いたりする機会もあまりなさそうですね。
和鋼博物館は、たたら製鉄の初期から近代までの歴史が見られるようになっています。
初期はこのように2人で農作業用道具や包丁、日本刀を作っていたのでしょう。
徐々に近代化されると、たたら製鉄に使用される機材も巨大化していきました。
たたら製鉄は、砂鉄と木炭を高温で何日も燃やし続けて玉鋼を作ります。
この日本刀の原料となる玉鋼を火で溶かしては叩き鍛えることを何度も繰り返すと、強くて切れ味鋭く美しい日本刀ができます。
たたら製鉄によって作られた純度の高い玉鋼により、日本刀は世界的にも認められる美術品となり重要文化財になりました。
貴重な日本のたたら製鉄は、昭和になる前に製造を終了し、戦後わずかな期間のみ再生産された後は完全に幕を閉じました。

しかし、文化財としても美術品としても優れている日本刀を後世に残すためには、たたら製鉄による優れた玉鋼が必要と考えた日本美術刀剣保存協会(略称、日刀保)が、かつての施設を復元し、日刀保(にっとうほ)たたらとして操業を再開し、現在もたたら製鉄の技術の保存・継承に取り組んでいます。

鋼博物館では、日本刀や玉鋼を実際に手にするサービスがあります。
ガンバレルーヤのお二人も、地元のローカル番組「冠ルーヤ」のロケに来られて日本刀を手にされたようです。
安来市の和鋼博物館以外にも、ドラマ「VIVANT」にも登場した日本刀の故郷である奥出雲地方には「たたら角炉伝承館」「奥出雲たたらと刀剣館」もあります。
島根に立ち寄られた際には、刀剣女子はもちろん、そうでない方も日本が誇る伝統文化 日本刀に触れてみてはいかがでしょうか。
住所:島根県安来市安来町1058
電話:0854-23-2500
開館時間:9:00~17:00(最終入館16:30)
定休日:水曜日(祝日の場合は翌日)、12/29~1/3
駐車場:有り80台(無料)