島根県には3つの国宝があります。松江城、出雲大社、そしてもう1つが神魂(かもす)神社です。
出雲大社と神魂神社は同じ大社造(たいしゃつくり)という建築様式でどちらも本殿が国宝に指定されていますが、神魂神社の方が出雲大社よりも歴史が古いそうです。
神魂神社は、熊野大社、八重垣神社のすぐ近くで古い神社が多い意宇(おう)地域にありますが、この地域は「国引き神話」によると当時、政治・文化の中心地で大いににぎわっていたそうです。

そして特に、意宇(おう)地域にある熊野大社、八重垣神社、神魂神社を含む6つの神社を巡拝する「意宇六社(おうろくしゃ)巡り」は、古くから縁結びや子宝等のご利益を求める人々に人気があり現在も尚それは続いています。

節分の日に、そんな神魂神社にお参りして国宝の本殿を見て来ました。
駐車場のすぐ横の道に並行して参道があります。画面の鳥居は二の鳥居で、桜並木のずっと奥に一の鳥居があります。
昼でも暗い参道がずっと先まで続くのを見ると、神魂神社って怖い?大丈夫かな?と一瞬だけ思ってしまいました。
でも、実際はそんなに長い参道ではなかったのでご安心ください。
数十メートルほど行くと手水舎(ちょうずや)がありました。実はこの手水舎のすぐ手前に右折して本殿へ続くさほど長くないが急な階段があり、そこを登ればゴールです。

手水舎のひしゃくは初めて見る独特の形をしていました。
ところで、この石段がなかなかの強敵です。
さほど段数はないものの1段ごとの高さが非常に高く微妙に段差がある自然石の階段で、平面部分も均一でないためちょっと怖いです。
登りも怖いですが、降りはもっと注意が必要になりそう。

でももし、この急階段が無理だと思ったら、手水舎を通り過ぎて「女坂」を進めば、少し遠回りになりますがゆるやかな道で本殿まで行くことができます。

足元に気をつけながらゆっくり登ると少しずつ拝殿が見えてきました。
神魂神社の拝殿です。国宝に指定されている本殿は拝殿の後ろにあります。

節分のピリリと引き締まった空気、木々に囲まれた静かな境内に、拝殿でお祓いを受ける人への厳粛な祝詞(のりと)と野鳥のさえずりが心地よく響いていました。
奥にあるのが本殿です。神話で日本国を創った男神、伊弉諾尊(いざなぎのおおかみ)をお祀りしています。
※「古事記」では伊邪那岐命(いざなぎのみこと)

国宝になっている本殿は1583年に再建された大社造で、高床、切妻(日本で一般的な屋根の形)、妻入り(妻側の壁に入り口がある)、そして屋根(破風)が曲線的で優美なのが大きな特徴だそうです。
さらに、本殿に入る入り口の部分は、妻と呼ばれる壁部分の中央よりすこし右寄りに作られているのも特徴です。
元々は彩色が施されていたようですが、現在は取れてしまい木肌が風雨にさらされている状態になっています。500年近くもの時間の流れを感じます。
反面、木の強さも感じますね。
神魂神社の国宝 本殿は、大社造として最古の建築ですが、なんとあの出雲大社より160年も古いそうです。
本殿の横隣にある建物は、大正時代に建てられた「貴布禰稲荷両神社本殿(きふねいなりりょうじんじゃほんでん)」で、こちらは重要文化財に指定されています。
さほど広くない神魂神社の境内は、まさに俗界とは離れた空気が漂う空間でした。居るだけで自然に気持ちがリフレッシュされ整えられるようなパワースポットです。

参道を初めて見た時、参道に立った時、石段を見上げた時は、一瞬身ぶるいするような後ずさりしたいような怖さを神魂神社に感じましたが、実際に本殿まで参拝してみると、怖さはパワースポットならではの特別感、清浄感に変わりました。

また、今日は土曜日で節分ということで、寒い中次々と参拝客が訪れそれぞれの参拝を楽しんでいました。
私も節分の豆をいただいて帰りました。今年も穏やかな年になりますように。
神魂神社(かもすじんじゃ)
住所:島根県松江市大庭町563
電話:0852216379
駐車場:有り
※参拝は24時間可能