「熱海殺人事件」という舞台演劇をご存知でしょうか。
内容は知らなくても、タイトルだけは聞いたことがあるという方もいるかもしれません。
日本を代表する劇作家として、演劇界に一時代を築いたつかこうへい。
その代表作が本作です。
2024年2月、福岡市にあるぽんプラザホールで熱海殺人事件が上演されました。
東京にあるゴツプロ合同会社プレゼンツによる本作の主演は山本亨。つかこうへい作品にいくつも出演した経験のある俳優です。
福岡で地元の劇団の芝居を観るようになり久しいですが、最初は好きな俳優目当てで劇場に通っていました。しかし、次第に俳優と同じくらい舞台そのものへの関心が芽生えてきました。
その流れで、ぜひ観劇したい思い観たのが本作です。
その結果、つかこうへい作品の持つパワーに圧倒されました。
マシンガンのように途切れない台詞。しかもその一つ一つが長い。それを完璧に言い切る俳優陣の凄さ。
舞台上に花びらが派手に舞い散る演出、コミカルに見えて人間の悲哀を描いたストーリー。
出演者はわずか4人。物語はほぼ一つの部屋だけで進んでいきます。
それにも関わらず、舞台上から伝わってくる熱は俳優が何十人も出る作品よりも大きなものでした。
熱海殺人事件は福岡にいながら、芝居の持つパワーを感じることができた素晴らしい作品です。観終わった後、素晴らしい時間が持てたことに幸福感を感じました。