恵林寺
観光・その他 山梨県甲州市塩山小屋敷2280   [地図]
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2023-03-16 00:44
山梨武田史跡巡り〜塩山エリア③「恵林寺」〜
観光・レジャー 山梨県・恵林寺
観光・レジャー 山梨県 恵林寺
塩山エリアのラストは、武田信玄公といえばこの寺、この寺といえば武田信玄公というくらい武田家にはゆかりの深い「恵林寺(えりんじ)」をご紹介します。
ここ恵林寺は、臨済宗妙心寺派に属するお寺です。前回向獄寺の回で臨済宗の解説をしたので多分理解できるかと思います。
1330年(元徳2年)、領主二階堂貞藤(さだふじ)が夢窓国師を招き開山したのが始まりのようです。
その後、二階堂氏の庇護をうけ、甲斐国における臨済宗の中心を担いましたが、応仁の乱により一時荒廃してしまいます。のちに信玄公の時代に再興されました。
一つ目の駐車場はこの総門の前にあります。ここに車をとめた方が駐車スペースが多いのでおすすめです。斜めにとめるタイプなので車が混んでいるときは要注意。
結構長いですが、両脇に木々があってなんだか心が落ちつきます。
この先にあるのが、桃山時代に建てられた国の重要文化財「四脚門(しきゃくもん)」。写真集などにも登場する別称「赤門」です。この前と横の奥にも駐車場がありますが、こちらにとめる人が多いので時期によってはとめられないかも。
先に進んでいくと、山門が登場します。歴史系の雑誌ではよく紹介されます。右側には「安禅不必須山水」、左側には「滅却心頭火自涼」と書かれています。
この言葉、「あんぜんはかならずしもさんすいをもちいず」「しんとうめっきゃくすればひもおのずからすずし」と読みます。
これは、織田軍が甲斐に攻め込んできた際、恵林寺が焼き討ちにあい、山門の上で弟子もろとも焼き殺されそうになっているときに快川紹喜(かいせんじょうき)という非常に有名な僧侶が言ったとされる言葉です。
「座禅をするのに山中や水辺に居所を求める必要はない」「煩悩を断ち切り無心になれば、雑念や熱さなど関係ない」という意味です。
実はこれは元ネタがあって、中国6世紀の詩人杜筍鶴(とじゅんかく)の「夏日、悟空上人の院に題す」という句です。以下がそれです。
三伏門(さんぷくもん)を閉とざして一衲(いちのう)を披す
兼ねて松竹の房廊(ぼうろう)を蔭(おお)う無し
安禅(あんぜん)は必ずしも山水を須(もち)いず
心中を滅得(めっとく)すれば火も自(おの)ずから涼し
臨済宗の公式サイトに解説があってわかりやすいので引用します。
夏の暑いまっさかりに、悟空上人という方は相変わらず一枚の破れ衣をキチンと身に着けて坐禅をしておられます。しかも炎熱を避ける一株の
松も一本の竹もない、まったくの炎天下と同様です。この方を見ていると、坐禅をするのに静かな山中か水辺に居を求める必要はなさそうです。上人のように心頭を滅却し寒熱を超越された方は、暑さに心を煩わずらわされることもなく、炎熱もまた楽しといった様子です――。
この最後の2句を快川紹喜がもちいたということです。
それにしても、心を無にすれば火も涼しく感じるとは、限界の境地を超えないと無理ですね。さすが信玄公の禅の師、快川紹喜。
ちなみにこの門の前は綺麗な庭園になっています。
山門をくぐると正面には開山堂があります。寺を開山した人の像や位牌が安置されているお堂で、ここには夢窓国師、快川紹喜、末松和尚の像が安置されています。この末松和尚、快川の弟子で、焼き討ちのとき快川の命により恵林寺を脱し、のちに戻ってきてここを再興した人です。
今、宝物殿では信玄公の弟で画才に優れた武田信廉公が描いた信玄公の肖像画が展示されているみたいです。実は信玄公、よくある屈強な戦国武将の姿ではなく、このようにとても繊細で華奢な感じが実際の姿だと言われています。結構イメージが変わりますね。
ここでお金を払うと夢窓国師作の庭園などが見れるのですが、何よりの見どころは信玄公柳沢吉保(やなぎさわよしやす)の墓です。今回は入りませんでしたが、子どもの時にしっかりと拝見しました。ぜひ、いらした際は見ていってください。
信玄公のお墓は毎月12日のみの公開のなので要注意です。私が子どもの頃はそんなルールあったか定かではありませんが。
この寺の寺領(じりょう/寺社の維持・運営のために設置された所領のこと)では門前市として「三日市場」「九日市場」が定期市として開かれていたようです。定期市とは特定の日に限って開かれた市のことです。東京都世田谷の有名な「ボロ市」と同じ感じでしょうか。毎月市の日はさぞかし盛り上がったことでしょう。
恵林寺は出店やお土産屋さんがあるので、巨峰のソフトクリームとお団子をいただいて帰りました。美味しかったです。お茶は無料です。w
それではこれにて山梨武田史跡巡り〜塩山エリア③「恵林寺」〜をもって塩山エリアの史跡紹介は終了となります。ここまでご覧くださりありがとうございました。
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