豊島の棚田
住まい・暮らし
香川県小豆郡土庄町豊島唐櫃607 美術館 前
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豊島散歩~棚田とわたし~
観光・レジャー
香川県・豊島唐櫃
近年、アートで有名な瀬戸内海の豊島(てしま)。
アートと共に、島の景観の美しさも注目されている豊島ですが、見どころの一つに、唐櫃地区の棚田があります。
海に面して段々と開けてゆく棚田の景観には目を見張るものがあります。
田植えの時期には水が入り、太陽や月の光を反射して空を映しますし、収穫の時期には黄金の稲穂景色が一面に広がります。
棚田はわたしの朝の散歩コースの一部。
棚田を歩くと、季節の移ろいをダイレクトに感じられるだけでなく、棚田から臨む海や空が、自分が島で暮らしているのだという実感をくれるんです。
そういう時、わたしはなんともいえない気持ちを抱きます。
こんなに遠くまで来てしまった、とか、もう前の自分には戻れないんだな、とか。
ちょっと感傷的な気分になってしまうのは、とにかく景色が美しいから。
稲作の時期はもちろんのこと、休耕中に咲く花の色や、冬枯れの景色さえも、物語の一部のようにそっと輝くのです。
棚田は、地域の棚田保存会や棚田プロジェクトと呼ばれる活動によって、その姿を保っています。
放っておけば、島の過疎化や高齢化によって、棚田は簡単に失われてしまうリスクをはらんでいます。
耕しづらく、維持が難しい棚田がこれほどまでに美しいのは、地元の人や豊島を大事に想うひとたちの努力の賜物です。
棚田では季節ごとにイベントも行われ、より自然の恵みを身近に感じられる機会も多くあります。
自然との共存をきれいごとで終わらせないひとびとの心意気が、豊島の棚田を更に美しくしてくれているのだと、わたしは思っています。