『横浜人形の家』の常設展示室にある「友情人形」のコーナー。

「友情人形」はまたの名を「青い目の人形」と言い、昭和2年(1927年)にアメリカから送られてきました。
日本はこれに対し、返礼として「答礼人形」を送り返します。
日米の対立が深刻化する中、このように両国の親善を目的とした取り組みが行われていました。

初めは「幼稚だ」と批判の声もありましたが、この親善活動を進めた渋沢栄一は「偏見を持たない子供たちにこそ、友愛を育てたい」と考えたそうです。
横浜代表の答礼人形・ミス横浜の「ハマ子」さんは、現在コロラド州デンバーの人形美術館に展示されています。

『横浜人形の家』で展示されているのは、デンバーのハマ子さんをモデルに製作した「平成のハマ子」さん。
平成3年(1991年)、人形の家開館5周年を記念して製作されたものです。

着物には横浜市の花・バラや、人形の家の建物が描かれています。
青い目の人形。
それぞれ幼稚園(奥:神戸、手前:東京)に寄贈されたものです。

アメリカから12000体を超える青い目の人形が渡ってきましたが、その多くは戦時中に日本国内では「敵」と見なされ、処分されてしまいました。
一方、「人形に罪はない」と人形を守る人たちの姿もあったそうです。
青い目の人形のパスポートには、名前、目の色、髪の色、出身地などが記載されています。
パスポートを携えてやってきたと思うと、なんとも愛らしいですね^^
現在、横浜では世界各国の姉妹都市との人形交流が行われています。
写真中央の2体の人形は、ウクライナのオデーサ州からのものです。
心を込めて作られた人形には、魂が宿ると言われています。
平和を祈って送られた人形には、平和の意思が宿るのではないでしょうか。

人形を慈しむように、人々が互いを労われる世界になりますように。