祇園の花街にほど近い繁華街・四条通り沿いにひっそりとたたずむお堂。
それが仲源寺（ちゅうげんじ）通称めやみ地蔵です。
平安時代の仏師・定朝が彫った地蔵菩薩をお祀りした鎌倉時代が仲源寺の始まり。
仲源寺の西にある鴨川は、当時大雨の度に氾濫していました。
そのため仲源寺で雨が降り止むことを祈願する方が多く、「雨止み地蔵」とも呼ばれていました。
また知恩院や八坂神社への参詣途中に雨に降られた人々が、仲源寺の軒下で雨宿りをしたことからその通称が付いたとの説もあります。
それが「めやみ地蔵」に変わったのは、眼を病んでいたある老夫婦の夫が夢枕に立ったお地蔵様のお告げ通りに仲源寺の閼伽水（あかすい・仏前へお供えする水）で目を洗ったところ、眼病が治癒したという霊験がゆかりとなっています。
以来眼病平癒の仏様として広く信仰されてきました。
山門をくぐった先には短い参道があり、左手に水子地蔵様が安置されています。
正面に見えるのが本堂の地蔵堂です。
決して広くない境内ですが、いつお参りしても参拝されている方がいらっしゃいます。
本堂右手のお堂に安置されているのは、祇園花街の女将さんからも篤く信仰されている大黒天様。
堂内が暗くてよく見えないのが残念でした。
扁額に刻まれている「雨奇晴好（うきせいこう）」は、「晴れの日はもちろん、雨の日も素晴らしい景色」という見事な風景を讃えた四字熟語で、「調子のよい時も、不調の時もどちらも素晴らしい人生」という意味があります。
眼病に悩みお参りされる方へ寄せた言葉なのでしょうか。
素適な言葉です。
