滋賀県長浜市、木之本町古橋にある「鶏足寺(けいそくじ)」は、紅葉の名所として知られる古い寺院跡です。
創建は奈良時代の735年にさかのぼり、僧・行基が開いたと伝えられています。
その後荒廃しましたが、799年には伝教大師・最澄が伽藍を再興しました。
中世には百前後の僧坊を抱える大寺院へと発展し、浅井氏や豊臣家が祈願所として用いたとされます。
寺院としての正式な位置づけは、かつて存在した大寺「飯福寺(はんぷくじ)」の別院でした。
現在の鶏足寺は本堂や主要建物を失い、山中に旧跡だけが残る状態です。
昭和8年(1933年)に本堂が焼失して以降、伽藍は再建されず、苔むした石垣や石段が歴史の痕跡を伝えています。
それでも人が訪れる理由は、晩秋の景色にあります。
参道のモミジが鮮やかに色づき、落葉が石段を赤く覆う光景は大きな魅力です。
華美ではありませんが、山林の静けさが心地よく、ゆっくり歩きながら季節の深まりを感じられます。
寺宝として伝わった十一面観音立像などの仏像は、現在は麓の収蔵施設「己高閣・世代閣」で保存・公開されています。
アクセスはJR木ノ本駅からバスまたは徒歩で可能で、紅葉シーズンは混雑が予想されるため、早めの時間帯が安心です
歴史を静かにたどれる秋の散策地として覚えておきたい場所です。