奈良県大和郡山市にある「郡山城（こおりやまじょう）」は、戦国時代から江戸時代にかけて大和地方の政治と軍事の中心となった城です。
平地に近い丘の上に築かれた典型的な平山城で、現在は建物こそ残っていませんが、石垣や堀跡が良好に残り、城郭の構造を感じながら散策できる公園として整備されています。
春には桜が咲き誇り、花見の名所としても知られています。
城跡は「続日本100名城」に選ばれ、2022年には国の史跡に指定されました。
築城を始めたのは戦国大名の筒井順慶で、勢力の拡大と拠点整備のために天正年間に工事を進めました。
廃城になっていた多聞山城から石材を運び、大規模な城へと整えたと伝わります。
その後、2026年大河ドラマ『豊臣兄弟！』で注目される豊臣秀長が郡山に入り、領国経営の拠点として城を大改修。三重の堀や高く積まれた石垣が備わり、近世城郭としての姿が整いました。
増田長盛による外堀工事も行われ、現在残る縄張りの基礎が形作られました。
石垣には寺院の礎石や五輪塔・地蔵などを転用した石が多く見られ、当時の資材調達の様子もうかがえます。
江戸時代に入ると郡山藩の拠点として水野氏・松平氏・本多氏・柳沢氏らが城主となり、藩政の中心として政治を担いました。
明治6年の廃城令により取り壊しが進みましたが、現在は復元された追手門や櫓が往時の姿を伝えています。
戦国から江戸へ続く歴史をたどりつつ、石垣や堀を眺めながら歩ける郡山城跡は、四季を感じながら歴史に触れられる魅力あるスポットです。