香川県北部に位置し、瀬戸内海の広々とした眺めを一望できる大串半島は、お気に入りのドライブコースとして、時々車を走らせています。四月の澄み渡った空の下、キラキラと光を放つ海を眼下に眺め、車の窓を開け、まだ少しだけ冬の残り香が残ったような爽やかな風を、車内いっぱいに満たすのは、実に休日を満喫するのに、相応しい過ごし方です。
先日、彼女と大串半島をドライブしていると、以前から気になっていたさぬきワイナリーを見つけ、ふらっと寄ってみることにしました。
店内には香川県産の葡萄のみで作られた、赤、白ワイン、ロゼ、スパークリングワインが並び、それらは試飲も可能です。僕は車なので試飲はできませんでしたが、彼女は全種類を美味しそうに、僕に見せつけるように、ぐびぐびと飲んでいました。
店の外からは桜が見え、ワインの芳しい匂いが鼻腔を抜ける中、風にゆらめく桜の花を眺めているのは、なんとも言えない風情に浸れます。
試飲ができなかった代わりに、人気メニューのワインソフトクリームをいただきました。ワインと葡萄ジュースをブレンドした、濃厚な甘みが特徴的なスイーツです。車の中で桜と瀬戸内海のコントラストを眺めながら、葡萄の甘みを凝縮し、見事にソフトクリームの中に閉じ込めたこのメニューを、口の中で溶かしながら、大事に味わいました。
帰宅後、買ってきた白ぶどう酒を開け、彼女と乾杯しました。香川県産のデラウェアを醸造した白ワインに、希少糖を混ぜ合わせて誕生した甘口ワインです。一口飲むと、まるで葡萄を丸齧りしたような強い果実みを覚え、飲み干すと、すっとした甘味が口の中に広がり、その幸せな余韻に、もう一杯とグラスに手が伸びてしまいます。ワインが苦手な人でも、問題なく飲んでしまえるような、非常にとっつきやすく、甘味も下品になりすぎず丁度いい品格を保った一品です。
何より、地元で生まれた葡萄を使ったワインというのは、二十七年近くこの香川県に住み続けている僕にとって、とても体に馴染む代物だというのが分かりました。ワインに限らず、日本酒も香川県産のものをどんどん試していきたいものです。次は赤ワインを、ここで買いたいと思います。