8月です。仙台七夕が始まります。すぐにお盆です。七夕というのは本来、お盆にご先祖さまをお迎えする準備を始める日なんだそうです。八月の七日または八日の朝、飾り付けられた笹竹を広瀬川の水に浸しその小枝で身を払い清め、川に流していました。それを「七日浴(なぬかび)」ともいい、身を清めてお盆の祖霊を迎えていました。つまり目印になる竹飾りを立て、乗り物の七夕馬(たなばたうま)を用意し、線香を焚いて清めるという仕事はすべて13日の「迎え盆」のための準備だったのです。
仙台七夕の最大の特徴は、美しい和紙による贅沢な飾りつけにあります。仙台城下に七夕という行事を推奨したのは伊達政宗公。理由は子女の技芸上達のためで、仙台七夕独特の「七つ飾り」にはそれぞれ意味がありますし、以前はもっといろいろ仙台らしい「吹き流し線香」や「七夕馬」などの飾りがあったそうですが、中心部では見かけなくなりました。(七夕線香は防火上の問題のため現在は全く作られていないそうです)
さて、前置きが長くなりましたが、泉ヶ岳を望む仙台市泉区根白石(ねのしろいし)地区をご紹介しましょう。仙台市の一番北にある泉区の西側にあり、泉ヶ岳と七北田の恩恵を受け実り豊かな米どころです。そんな「根白石」のイベントチラシが目に留まりました。
この表紙を見て「ここの七夕飾りは小さな子でも手が届くんだな」と真っ先に思ったものです。なんだか暖かくて、ほのぼのとした空気を感じました。
ここでは高さ2メートル程の鉢植えの笹竹に飾り付けをします。鉢植えになっているので笹が枯れないという利点もあります。小ぶりですが伝統的な吹き流しや短冊に加えて、最近では思い思いのデザインやキャラクターグッズなど思い思いの作品が飾られます。
この甲冑姿の政宗公(らしい)がいい味を出していますねえ。
ところで根白石の七夕飾りには、他ではもう見られないものがまだ残っています。藁を編んで作った馬で「七夕馬」と呼ばれています。お盆にご先祖様を乗せるための馬なんです。
このモノクロ写真は「泉かむりの里観光協会」様よりお借りしました。
藁ぶき屋根の上に「七夕馬」が乗っています。(虫じゃありませんよ)
近くでよく見ると赤や黄色の布で飾られ、尻尾やたてがみも工夫されていて、手作り感一杯のかわいい「お馬さん」です。この七夕馬は、昔は多くの地方で作られ飾られていたそうですが、現在ではめっきり少なくなってしまい、根白石の七夕馬は貴重な文化遺産と言われています。
今年の根白石「民族七夕祭り」は8月6日~8月9日まで。仙台市中心部の仙台七夕祭りと全く同じ日の開催です。マチナカの喧騒に疲れたら、ちょっと足を伸ばして根白石の「民族七夕」を見にいらしてください。お寺でお茶を頂けますし、浴衣のレンタルもあるそうですよ。そしてなにより「七夕飾りとツーショット」が撮れるのも魅力ですね。