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映画「ゴジラ-1.0」がアカデミー賞を受賞し、ゴジラという作品の魅力が改めて世界中で注目されています。
そんなゴジラも元々は、1954年に公開された1本の映画にすぎませんでした。
映画はヒットしシリーズ化され、さらにゴジラから派生したさまざまな特撮が主体の映画が製作されました。
そんなたくさんの映画で、特撮美術監督を務めたのが井上泰幸さんです。
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1922年に福岡県の古賀市で生まれた井上さんは終戦後、さまざまな経緯を経て最初の「ゴジラ」の制作に参加。それ以降、特撮美術監督として活躍し2012年にその生涯を閉じました。
これまでさまざまな場所で開催されてきた井上さんの功績を辿る展示会ですが、2024年は井上さんの故郷である福岡県古賀市で開催されています。
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展示会の目玉は会場の中で圧倒的な存在感を放つ「旧岩田屋デパート」の巨大ミニチュアです。
この建物はかつて福岡市に実在したものですが、映画「空の大怪獣ラドン」に登場し当時のミニチュアを手掛けたのが井上さんでした。
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ミニチュアの大きさは1.6mもあり、手すりの1本1本にいたるまで精密に再現されています。
井上さんは特撮美術の仕事において、妥協を許さず常に「本物を作る」ということを目指し続けていました。
決して「本物のように見えるもの」ではなく本物。
ゴジラをはじめとする特撮映画の町や森は、映像技術が進歩した現在から見ても色褪せぬリアリティが漂っています。
そんな世界観に魅了されたクリエイターたちが新しい挑戦を続けてきた結果がゴジラ、そして日本の特撮作品を発展させてきたと言っても決して過言ではありません。
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9月21日と22日には特撮美術監督の三池敏夫さんを招き、井上さんが手掛けた仕事を語るトークイベントも開催されます。
特撮が好きな方、初めて井上さんのことを知った方も貴重な機会ですので機会があればぜひ展示会にお越しください。