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鳥取県指定無形民俗文化財「赤松の荒神祭」で4年に1度の日本伝統文化に触れる
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暮らし・仕事
鳥取県・赤松の荒神祭
中国地方最高峰の大山を仰ぎ見る大山町赤松で、江戸時代から伝わる伝統行事で鳥取県指定無形民俗文化財の「赤松の荒神祭」が4年ぶりに開催されました。
このお祭りの起源は1654年、この年、大干ばつに見舞われた赤松集落の人々は、氏神様である日吉神社の「五穀豊穣と村の繁栄を願って大蛇を奉納せよ」とのご神託に従い、各家々から藁を持ち寄って大蛇を作り神社に奉納したのが始まりと言われています。
町内にある「赤松の池」の悲しい伝説に出てくる大蛇とは違う大蛇のようですが、いずれにしても大蛇が町の守り神であることには違いないようです。
以来、赤松の荒神祭は370年間、4年に1回うるう年の2月に行われていたのですが、最近は3月第2日曜日になりました。
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全長約20m重さ約1トンの藁で作られた大蛇は、かなりの存在感で驚きますが、長老たちに聞くと昔は約36mで重さ約1.5トンもあったそうです。
過疎化による担ぎ手不足によって大蛇のサイズを縮小せざるを得なくなったとのこと。
そこで、近年は町民以外でも担ぎ手になってもらえるよう希望者を募っているようです。
会場は2010年に廃校となった旧大山小学校赤松分校の体育館です。現在は体育館だけが残されています。
大蛇の頭には安泰を願って13本の大弊串と赤松集落の戸数を表す50本の小弊串が飾られています。
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さらに、近年は藁が手に入らなくなり、お祭りに使用する大量の藁を手に入れるのも一苦労のようです。
米作りは高性能な機械によって少ない労力でも効率的にできるようになりました。稲を刈りとりながらコンバインで藁を処理し籾の収穫まで済むなんて、なんて便利なんでしょう。
が、そのため藁を長いまま残す農家が減ってしまいました。
そこで赤松では4年に1度の荒神祭に使用する藁を、昔ながらの天日干しで稲を乾燥させる農家から買っているそうです。
人といい藁といい、時代と共にお祭りを開催する環境は激変しているんですね。
丁寧な作業で藁をそろえ、大蛇の体を美しく整えるのは町内の女性たちが中心となって行っています。
組み立ては男性が行います。
大蛇造りは、2日がかりの町民総出の根気のいる作業で成り立っているんですね。
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大山町長のあいさつ、日吉神社宮司による神事が終わると、いよいよ体育館から大蛇が出て町内を練り歩き、最後には日吉神社へと奉納されます。
中央で担いでおられるのは、竹口大紀大山町長です。
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大蛇は昔は男性だけが担いでいたそうですが、現在は女性も子供も町外の人でも希望すれば担ぐことができます。
新調された太鼓を担ぐ人、叩く人、宮司さん、老若何女約60名が「わっしょい!」の声に送られ1トンの大蛇と共に町内を練り歩きました。
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この町内の一体感が、厳しい山の冬を皆で協力し合って生き抜く原動力になるのでしょうね。
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あれ?ツノが片方取れちゃったみたい ^^
いろいろありますよね。何しろ大きいから。
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途中でちょっと休憩タイム。お神酒とちょっとしたおつまみで体力を回復させてラストスパート!この日は気温が上がり強い日差しが降りそそいていました。がんばれ!!
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日吉神社はこじんまりとした小さな神社で鳥居も小さめです。
無事に入るかな?とちょっとヒヤヒヤしました。
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体育館出発から約1時間、藁の大蛇様は無事に日吉神社玉垣内に収まりました。ツノもちゃんと戻っています。^^
大蛇様はこれから4年間、この場所で赤松集落の安寧を見守ってくれることでしょう。
皆さん、本当にお疲れさまでした。
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鳥取県指定無形民族文化財 「赤松の荒神祭」
開催日:うるう年3月第2日曜
住所:鳥取県西伯郡大山町赤松943電話:0859-53-3136(大山町観光課文化財室)会場:赤松体育館(西伯郡大山町赤松931-1)ほか