奥出雲地方のたたら製鉄で栄えた絲原(いとはら)家住宅は、国の有形文化財に登録されています。
世界的にもたたら製鉄は、唯一ここ奥出雲地方に残るだけとも言われており、絲原記念館には貴重なその歴史と資料が残されていて興味深いです。
そして、絲原記念館の奥にあるのが絲原家住宅で一部が公開されています。
重厚な造りが目を惹くその住宅は、延床面積は1,627m²(約493坪)、部屋数は約40室もあり、江戸時代に松江藩主が訪れた際には本陣(宿泊所)として使われ、また後世には与謝野鉄幹、晶子夫妻や、第34代首相 近衛文麿も宿泊したという記録が残っています。
玄関を入って左側はふすまで仕切られる部屋が続いていました。
その反対、右側はまだ一部が私宅として使用されていて非公開です。
絲原家住宅は庭も素晴らしいです。
玄関を出て左に進むと、出雲流で造られた名園があります。
池泉を中心として回遊しながら楽しむ庭です。
点在する大きな石灯篭に長い歴史が醸し出す風格を感じました。
昔風の日本家屋は、普段はふすまで仕切られた複数の部屋を、結婚式の時などにはふすまを取り除いて大人数が集える大広間として使えるように造られていました。
ここ絲原家の居間は、広さや格式、そしてその歴史的価値においてもその最たるものと思われます。
時の名士たちがこの部屋や縁側から四季折々の名園を眺め心を癒しつつ、一国を動かすような政治談議やたたら製鉄談義も行われたのかもしれません。
この庭は、松江にお茶文化を広め根付かせた、第七代藩主であり茶人であった松平治郷(はるさと)=松平不昧公(ふまいこう)が、京都から連れてきた庭師 沢玄丹によって考案されたと伝えられています。
うまく写真が撮れなかったのですが、遠くの山も借景に使っているそうです。
たたら製鉄を営むためには、一度に三昼夜も炉の火を絶やさず燃やすための膨大な材木が必要です。そのため、絲原家を始めとする三大名家はどこも多くの山を所有する大財産家でした。
そんな大名家の跡取り息子と小作人の少女との悲恋を描いたのが、大江賢次作の小説「絶唱」です。
そんな大名家の跡取り息子と小作人の少女との悲恋を描いたのが、大江賢次作の小説「絶唱」です。
昭和33年(1958年)に小林旭さんと浅丘ルリ子さん出演で映画化されたとき、ロケ地に選ばれたのがここ絲原家でした。
※ちなみに昭和50年(1975年)に上映された山口百恵&三浦友和出演の映画「絶唱」のロケ地は、西河克己監督の出身地 鳥取県智頭町です
※ちなみに昭和50年(1975年)に上映された山口百恵&三浦友和出演の映画「絶唱」のロケ地は、西河克己監督の出身地 鳥取県智頭町です
絲原家の広大な敷地には、住宅と庭の他にもお茶室やちょっとしたハイキングを楽しめるコースがあります。時間に余裕をもって行かれることをお勧めします。
国登録有形文化財 絲原家住宅
住所:島根県仁多郡奥出雲町大谷856電話:0854-52-0151
開館時間:9:00~16:00
休館日:水曜日
駐車場:無料で約80台~120台分有り












