デパートの屋上は、かつて屋上遊園地で賑わいましたが、少子化、消防法の改正(避難経路確保)、コスト増などで多くが閉鎖されいます。
金沢の百貨店「大和」の屋上は、街の中心にありながら、どこか時間がゆっくり流れる不思議な場所です。近年、全国的に百貨店の屋上遊園地が姿を消していく中で、大和の屋上はいまも変わらず、ひっそりと存在します。
屋上には、アンパンマンやパンダ、汽車などのキャラクター乗り物が並び、コインを入れて動かす昔ながらの遊具が現役で稼働しています。どれも最新式ではありませんが、その分、昭和や平成の空気を色濃く残し、大人にとっては懐かしさを、子どもにとっては新鮮な体験を与えてくれます。実際に「自分もここで遊んだ」という親が、わが子と並んでコインを入れる姿もよく見かけます。
コインを入れたら動く動物も哀愁が漂っています。
屋上からは金沢の街並みや空を感じることができ、買い物の合間に立ち寄るだけで、少し肩の力が抜けるのも魅力のひとつ。冬は雪のため閉鎖されてしまいます。
室内には小さなゲームセンターもありますが、どれも年季の入ったゲームばかりです。
便利さや効率が重視される時代だからこそ、大和の屋上は「変わらずそこにあること」自体に価値がある場所。世代を越えて思い出が重なっていく、金沢ならではの百貨店文化を感じられる、貴重な屋上スポットです。
100円で11枚のコインが出てきて、好きなだけ遊べるレトロゲーム。35年ほど前、私自身も夢中になっていた思い出の一台が、今も現役なのがうれしい驚きです。息子はコインを握りしめ、気づけば1時間近く集中して遊んでいました。世代を越えて楽しめる、懐かしくてあたたかな時間でした。