日本には沢山の劇団があり、俳優活動を行っている人も数え切れないくらい存在していることをご存知でしょうか?
テレビドラマや映画ではなく、主に町にある劇場で公演を行う人々。地域演劇ともいわれるこのジャンルに触れるようになったのは数年前です。

それまで全く演劇を観たことはなかったのですが、縁あって今は定期的に劇場に足を運ぶようになりました。
今回観劇した作品は『トピカペニア』です。
福岡を拠点とする劇団『FOURTEEN PLUS 14+(フォーティーンプラス)』の第18回公演で、会場は福岡市にある『ぽんプラザホール』。年間通して多数の劇団の公演が行われている福岡の代表的な劇場です。

物語の舞台となるのはカビの研究所。そこで働く主人公に色々な問題が降りかかり、その中で自身の内面に向かい合っていくといった内容でした。
やや難解な部分もある作品ですが、カビが広がっていくことに人間の心理を重ねる着眼点がユニークです。
その中であぶり出されていく登場人物たちの人間性、それを鬼気迫る演技で演じる俳優たちの迫力は、これぞまさに舞台演劇の醍醐味!

ドラマや映画と違い、特殊技術による演出が使えない舞台でカビが広がっていく様子をどのように表現できるか?
そうした演出の面白さも見所でした。
正論を言うようで誤魔化し、誤魔化すようで本心を言う。そうした人間の一面が本作の主題です。
例えば何か心配事がある時に、それをきっかけに次から次へと広がっていく不安。誰しもそうした経験はあるのではないでしょうか。
人間を描いた物語は沢山ありますが、人間にカビを重ねた独自性は他にない個性を放っています。

『トピカペニア』は韓国での公演も決まっています。
映画やドラマだけでなく、自分の目で生の演技が観てみたいと感じる方がいれば、ぜひあなたの街の地域演劇に足を運んでみてはいかがでしょうか。