実業家かつ茶人の原三溪が手がけた『三溪園』は、
17棟の歴史的建造物を持つ大規模な日本庭園です。
「その②【名建築編】」では、風情溢れる古建築を紹介しました。
今回はその一つである「旧矢箆原家住宅(きゅうやのはらけじゅうたく)」をピックアップしてご紹介します。
もともと岐阜県・白川郷にあった旧矢箆原家住宅。
ダム建設に伴い水没してしまう地区から、ここ三溪園に移築されました。
ちなみに原三溪は岐阜県出身。
三溪園にこの建物が寄贈されたのは、そんな縁があるからだそうです。
建物の右半分は、農民の生活空間である「農民造り」になっています。
おいえ(団欒の間)の囲炉裏では、こんな風に毎日薪をくべているそうです。
この煙には、木を燻して梁や茅葺き屋根などを長持ちさせる効果があるのだとか。
建物の左半分は「書院づくり」という接待の間です。
「中の間」と「奥座敷」の間の欄間は、大小様々な大きさの華やかな扇があしらわれています。
その奥の「中の間」と「広間」の間の欄間にあしらわれているのは、碇(いかり)の意匠ですね。
農家造りの棟の戸を全開にすると、気持ちのいい風が吹きこんできます。
屋根裏から差し込む光が囲炉裏の煙の粒子を照らし、
こんなに美しい光芒が!
神秘的な光景に、思わずシャッターを切りました。
煙を炊く時間と太陽光の角度が合うほんの一瞬しか見られない光景で、
わざわざタイミングを図って撮影に来る人もいるのだとか。
こんな風に「たまたま見れた」という人は、かなりラッキーだそうです!