私はスピリチュアル愛好家でも神社愛好家でもなくただの歴史好きなのですが、ここ大神山神社奥宮に続く参道を歩き、悠久の歴史と豊かな自然の中にいると、「ほんの小さな自分」を再確認できて少しずつ心が軽くなっていくような気がします。

大神山神社奥宮の社殿も素晴らしいのですが、私が特に好きなのは参道です。
大神山神社奥宮の参道は、自然石で造られた700mの参道です。これは自然石で造られた参道としては日本一だそうです。

昔は僧たちの修行の場所だったこの参道は今でも山深く、ちょっとした修行体験を味わえる厳しくも癒される特別の場所になっています。
この自然石の参道は、アスファルトで舗装された道に慣れている現代人には、スタスタ歩くのが難しい不規則な凸凹道で、おまけに昼なお暗い参道の脇を流れる水路からしみ出した水でいつも濡れていることが多いのです。

おしゃべりに夢中になったりして油断していると、ツルッと滑ってしまう危険があるので注意が必要です。
だから、誰もがつい無心に歩いてしまうのですが、実はそれが山の奥の神社参拝にはふさわしい歩き方なのかもしれないですね。
この辺りは自然遊歩道の一部になっているので、山歩きの途中に参拝する人もいらっしゃいます。
参道脇には樹齢千年を越えているかのような巨木、そして鳥のさえずりと流水の音を聞きながら進んでいくと、徐々に心が穏やかになりリラックスしていきます。
これは青の鳥居です。昔からここ以外に青い鳥居の神社はないと聞いたのですが正確なところはわかりません。でも、かなりレアなのは確かです。
青い鳥居をくぐってしばらく進むと、大山の名水が湧き出た「御神水」があります。
手や口を洗い、のどを潤すとホッと一息つけます。まだまだ先は続きます。
そして、これはかなり珍しい「後向き門」です。
門を閉める時に使う閂(かんぬき)が内側ではなく外側についています。
えっ?それでは門を閉める意味がないですよね。中の人が出られなくなるだけです。

理由はこうです。
明治の神仏分離の際に大山寺から分離されたのが大神山神社奥宮ですが、その時に大山寺本坊西楽院の表門だったこの門も移動させたのだそうです。
が、なぜか向きを変えずにそのまま移動して設置したので、逆門になってしまったそうなのです。
もうこれからの時代は、門を閉める機会はこないと考えられたのでしょうか?
よくわからないですね。
さぁ、この門をくぐるとラストに待っている急な長い階段の先に、ようやく大神山神社奥宮が見えてきました。
途中で止まるとかえって疲れるので、いつも一気に登ります。
やっと到着しました。のんびり歩いて30分の参道歩きでした。
自分の体力年齢を測るには、もってこいの散策コースかもしれません。

いよいよ今年の秋にはピカピカの杮葺き屋根に生まれ変わった社殿が見られるのが楽しみです。また元気に戻ってこれるかな。
大神山神社奥宮
住所:鳥取県西伯郡大山町大山
電話:0859-52-2507(大神山神社奥宮)
駐車場:数台分有り

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